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2026/04/03 19:25

こんにちは、Crushの職人です。

本日は、前回の「長くご愛用いただくための設計」に続き、「美しい仕立てのためのこだわり」についてお話しします。

今回の構成は以下の通りです。

1.はじめに
2.ステッチ
3.金具の正位
4.おわりに

1. はじめに
私は、「美しさ」とはそれ単体で独立したものではないと考えています。
前回の記事で触れたような、長期使用に耐えうる構造や機能性。それら全ての工程において、一切手を抜かずに積み上げた先に宿るのが美しさです。
Crushは、芸術品や鑑賞物の制作を目標としておらず、あくまで「道具」を制作しています。
機能美が揺るがない原点ですが、今回は審美的なこだわりについてお話しします。

2. ステッチ
Crushの縫製は、すべて手縫いです。
正直なところ、私はミシンを所有していません。なので、ミシンと手縫いのどちらが優れているかを語る立場にはありません。しかし、手縫いの中で突き詰めているこだわりはあります。
• 段漉き(だんすき)による立体成型
製品の外周に「段漉き」を施すことで、ステッチの周囲にわずかな段差を生んでいます。MC01.BFW01の外周に施してあります。これにより、ステッチが摩耗から守られると同時に、製品に豊かな陰影とラグジュアリーな風格が宿ります。


• 始点・終点
通常手縫いでは、事前に斜め線の穴、もしくはひし形の穴を開けます。始点と終点まで同じように開けてしまうと、余計な隙間が生じて強度が落ちるだけでなく、見た目も不格好になります。
Crushでは、始終点に丸い穴を開けています。これにより、縫い穴が必要以上に広がらず、表情がグッと凛々しく引き締まります。
また、左右対称の箇所では、返し縫いの数まで均等に揃えて視覚的なノイズを排除しています。


• コーナー
コーナーは職人の技術が顕著に現れる場所です。最後の一針までラインがブレずに走り抜けるとき、圧倒的な完成度が宿ります。



3. 金具の正位
Crushでは、イタリア製挽物金具のプリムホックを採用しています。
削り出しによる重厚なフォルム、そして開閉時の音と感触がとても美しいです。
その美しさを損なわないために、私は「金具の向き(正位)」にこだわっています。
金具の向きが揃っていなくても、道具としての使用には問題ありません。しかし、プリムホックは2本のバネで保持する構造のため、向きを正位に整えることで左右の負荷が均等になり、結果として長持ちする可能性が高まります。



4. おわりに
本日お話しした内容は、非常に細かな、見過ごされてしまうような内容かもしれません。
逆に、どこか一箇所でも欠けていれば、違和感やチープさとして現れます。
Crushの製品で、それらが感じられないように仕立てたい。その緊張感こそが、私の製作の原動力です。

次回は、二回にわたるこだわりの根底にある、「個のクラシック」についてお話しします。

本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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