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2026/04/02 19:33

こんにちは、Crushの職人です。

本日は、私が製作において前提としているこだわりについてお話しします。
これは、Crushが根底に持つ「個のクラシック」という理念に直結する核心部分です。
今回はその第一部として、「長くご愛用いただくための設計」に焦点を当てて整理しました。

今回の構成は以下の通りです。

1. 無双仕立て
2. 手漉き(てすき)
3. 修理を見据えて
4. おわりに

1. 無双仕立て
「無双仕立て」という言葉に馴染みがない方も多いかもしれません。簡単に言えば、革の表同士を贅沢に貼り合わせる技法のことです。
革には「銀面(表)」と「床面(裏)」があります。銀面は繊維が緻密で頑丈ですが、床面は繊維が粗く、露出していると経年で形崩れや毛羽立ちが起きやすくなります。
例えば「厚さ2mmの革1枚」よりも、「厚さ1mmの革を2枚貼り合わせた2mm」の方が、構造的に遥かに強靭です。 更に、床面を露出させないことで、汚れの付着を防ぎ、使用時の滑らかな快適さも生まれます。通常の2倍の革を使う贅沢な仕立てですが、耐久性と品格を両立させるためには、これがCrushの最適解です。カードポケットからマチに至るまで、例外なくこの仕様を貫いています。

2. 手漉き(てすき)
「漉き(すき)」とは、革を薄く加工する技法のことです。
多くの現場では機械(漉き機)を使います。Crushでは「自らの手」で革を漉きます。


この画像をご覧ください。左側にいくほど、なだらかに、段々薄くなっているのが分かりますでしょうか。
一つのパーツ内でも「厚みを残すべき場所」と「薄くすべき場所」があります。手漉きによってその境界線を0.1mm単位でコントロールすることで、「壊れない強靭さ」と「ラグジュアリーな薄さ」という、相反する要素を一つの形に封じ込めています。
他では滅多に見られないほど恐ろしく手間がかかりますが、美しさと強靭さは削るべきではないと考えています。

3. 修理を見据えて
現在、一部の製品に金具(ボタン)を採用していますが、その裏側には薄く加工した革パッチを貼っています。


これは、金属が収納物を傷つけないためですが、実はもう一つの理由があります。
無双仕立ての構造上、革の間に金具を隠すことも可能です。しかし、金具は革よりも先に寿命が来る可能性が高いです。もし金具が故障した際、ステッチを解き、接着された革を無理に剥がして修理すれば、革本体に大きなダメージが残ります。
「大切に扱っていただいている製品の革を不必要に傷つけたくない」。
だからこそ、メンテナンス性の高いこの構造を選んでいます。

4. おわりに
私たちは、かつて命があった限りある資源である革を扱い、向き合っています。
その責任を全うするために、私はこれからもこの仕立てを継続していきます。
それが私の矜持であり、「Crushが提供する価値」そのものです。

次回は、今回の続きである「美しい仕立てのためのこだわり」をお届けします。

長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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