2026/03/30 19:15
こんにちは、Crushの職人です。
これまでブログを十分に有効活用出来ていませんでしたが、今後は制作の背景やこだわりについても書いてみようと思います。
本日は、私たちが最も心血を注いでいる工程の一つ、「コバ」についてお話しします。
少し専門的な内容も含みますが、お時間の許す際にお読みいただければ幸いです。
今回の構成は、以下の通りです。
1.コバとは
2.Crushにおけるコバ処理の歴史
3.最後に
1.コバとは

(写真は裁断面。数段工程が進んだ状態。)
コバとは、革製品の裁断面を指す言葉です。
代表的な処理方法には、素仕上げ、磨き仕上げ、顔料仕上げ、ヘリ返しなどがあります。
これらの技法に、杓子定規な優劣はありません。
しかし、同じ技法であっても、その手順や材料の選択は職人やブランドの数ほど存在します。だからこそ、コバにはそのブランドの性格や世界観が色濃く現れてくると思います。
お手元の革製品のコバをじっくり見てみてください。職人の想いが伝わってくるでしょうか。
2.Crushのコバ処理の歴史
Crushでは現在、伝統的な磨き仕上げを軸に仕立てています。
もちろん、製品の特性に合わせて顔料仕上げ、ヘリ返しなどを選択することも可能です。
オーダーメイドの際は、お客様の好みに合わせた最適な仕立てをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
私がレザークラフトと出会ってからの約5年間。ブランドを立ち上げる前から、ありがたいことに友人や知人より多くのご依頼を頂いてきました。修理やメンテナンスを通じ、使い込まれた製品から得られるフィードバックは、単なる経験に留まらず、私にとって何よりの教科書となりました。
当時は、一般的に語られる手順や市販の材料に従っていました。しかし、それでは独自性を生み出すことが出来ません。何より、「作り手として本当の意味で責任を取ることが出来ない」と考えていました。この葛藤がある限り、私は納得出来ませんでした。
そこで、思考停止だった工程を解体し、工程と材料の一つひとつを見直していく為の実験を重ねる日々が始まりました。
「この手順の必然性は?本当に必要な工程か?」
「この素材は具体的にどんな反応をしてどんな効果を?最適か?」
「この工程は、そもそも何をもたらしているのか?」
無限に浮かび上がる疑問を地道に潰しては実践を繰り返す。
最適解を構築していく様は、まさに叡智と実践でした。
公認心理師としては臨床に傾倒していましたが、研究と臨床は表裏一体であることを、職人となった今、その真理を改めて思い知らされる期間であったように思います。
ラグビーと鳶職で鍛えられた根性と職人としての矜持、公認心理師で鍛えられた探究力、その全てが私を支える力となっています。
、、、話は逸れましたが、現在のCrushのコバ処理において、市販品をそのまま使用することはほとんどありません。手順も調べて出てくる既存のものではありません。
だからこそ以前の葛藤は薄まり、唯一無二の仕立てとして胸を張ってお届け出来ております。もちろんここで満足せず、さらに精進してまいります。

(写真はCrushのコバ。前の小瓶にはこだわりのコバ材料)
3.最後に
話は変わりますが、皆様は革靴はお好きでしょうか。
革靴には、「磨いて仕上げる楽しさ」が確立されていますが、革小物のコバにおいて、その楽しさはまだ広く届いていないように感じます。
Crushをご愛用してくださる皆様は、革小物を大切に愛用し、手をかける喜びを知っている方々ばかりです。
その思いに応えるべく、私は「コバを靴磨きのように自らの手で磨き上げることが出来る」ように仕立てています。
使い込むほどに深みを増し、磨くほどに輝きを取り戻す。
この「手をかける楽しみ」については、また改めて詳しくお伝えできればと思います。
次回は、
「革靴のように手をかける楽しみを革小物にも。具体的なメンテナンス方法」
を予定しております。
長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。
